高校入試制度「決定」に対する京都市教組の見解

 京都府教育委員会と京都市教育委員会が、10月18日に決定した「京都市・乙訓地域公立高校入学者選抜の『改善』(最終決定)」に対して、京都市教組は以下の見解を発表しました。

 

2007年10月22日
京都市教職員組合

「京都市・乙訓地域公立高校入学者選抜の『改善』(最終決定)」に対する見解

 

 京都府教育委員会と京都市教育委員会は、10月18日の各教育委員会において「京都市・乙訓地域における公立高校入学者選抜制度の改善」を最終決定しました。この公立高校普通科Ⅰ類・Ⅱ類の入試制度の具体策は、以下の点で重大な問題点を含んでいます。
 最初に指摘しなければならないことは、府・市両教委が行った「懇談会」や「説明会」「意見募集」において、様々な意見や不安の声が出ていたにもかかわらず、それらが反映されていないことです。
 さらに、通学圏の分け方をはじめとする入試制度の具体的な変更点の最終決定について、またもや「新聞報道で初めて知る」事態になったという点は重大な問題です。各中学校や高校で一切父母に説明会も開かず、教職員に説明や意見を聞かないまま、教育委員会で決定したことは言語道断です。
 通学圏については、現行の4通学圏を2通学圏に半減し、通学範囲を拡大することの問題はこれまで指摘してきましたが、今回のような南北2通学圏にすることはさらに重大な問題をもっています。その一つは、現行の東通学圏と西通学圏が南北に分断されることで、現在通学できている高校へ行けなくなる生徒が出ることです。また、東西に広くなるために公共交通機関を利用した通学の困難さを増すだけでなく、遠距離通学を余儀なくされる生徒が多数出てくることです。二つ目は、通学圏における「専門学科」設置校の配置に片寄りがみられるように、南北に新たな格差を生じさせる問題です。
 入試制度変更の最終決定は、希望枠を拡大し、実質1通学圏と同じはたらきをもたせるとともに、「総合選抜」で近くの高校へ行ける枠を縮小させています。これは、より公立高校間の競争と格差を拡大させ、序列化を加速させるものであり、希望枠拡大の名の下に実質的に子どもたちの選別を強めることです。そして、最終的には1通学圏、完全単独選抜にむけた第一歩になるのではないかと懸念するものです。とりわけ単独選抜であるⅡ類への影響は大きく、定員割れが起こる高校が増加することも予想されます。
 前期特色選抜については、すでに導入されている山城地域などでも問題点が指摘されているように、客観性に欠け不合格者が大量に出るものです。すでに他府県でもこの選別方法を廃止したり、見直しされはじめているもので、この制度を導入することは問題です。
 私たち市教組は、今度の入試制度の改変について、いままで中学校校長会や市教委などいろいろな場で問題点を指摘し、市民的な学習会の開催、市民向けのビラの配布やアンケートの実施・要請署名に取り組んできました。その中で、府・市両教委は重大な問題点を何ら解決しないまま、拙速に施策化しました。今回の高校入試制度の改変に反対し、撤回を求めるとともに、子どもたちにとっての公立高校教育の充実や、すべての子どもの中期高等教育を保障する選抜方法の改善を引き続き要請するものです。

以上

 

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