高校入試制度「決定」に対する市教協要請書

 京都府教委と京都市教委が10月18日に発表した、「京都市・乙訓地域公立高校入学者選抜の『改善』(最終決定)」に対して、京都市教職員組合協議会(市教組と市立高教組)は、2007年10月23日、その撤回と学校当事者・府市民の意見の尊重、時間をかけた再検討を求める要請書を提出しました。

 

2007年10月23日

京都市教育委員会
 教育委員長   田中 田鶴子様
 教育長      門川 大作様

京都市教職員組合協議会 
議長     関 民夫
京都市立高等学校教職員組合
執行委員長  関 民夫
京都市教職員組合
執行委員長  新谷 一男

「京都市・乙訓地域公立高校入学者選抜の『改善』(最終決定)」撤回と学校当事者および市・府民の意見の尊重と時間をかけた再検討を求める要請

 京都府教育委員会と京都市教育委員会が、10月18日の各教育委員会において決定した、京都市・乙訓地域の公立高校普通科の通学圏と入試制度の「改善」の具体策は、以下の点で重大な問題点を含んでいます。
 最初に指摘しなければならないことは、府・市両教委が行った「懇談会」や「説明会」「意見募集」において様々な意見や不安が出ていたにもかかわらず、それらが反映されていないことです。さらには、通学圏の分け方をはじめとする入試制度の具体的な変更点について、またもや「新聞報道で初めて知る」事態になったという点は重大な問題です。各中学校や高校で一切父母に説明会も開かず、教職員にも意見を聞かないまま、教育委員会で決定したことは言語道断です。
 通学圏については、2通学圏に拡大することの問題はこれまで指摘してきましたが、今回のような南北2通学圏にすることはさらに重大な問題をもっています。その一つは、現行の東通学圏と西通学圏が南北に分断されることで、現在通学できている高校へ行けなくなる生徒が出ることです。また、東西に広くなるために公共交通機関を利用した通学の困難さを増すだけでなく、遠距離通学を余儀なくされる生徒が多数出てくることです。二つ目は、通学圏における「専門学科」設置校の配置に片寄りがみられるように、南北に新たな格差を生じさせる問題です。
 入試制度変更の最終決定は、希望枠を拡大し、実質1通学圏と同じはたらきをもたせるとともに、「総合選抜」で近くの高校へ行ける枠を縮小させています。これは、より公立高校間の競争と格差を拡大させ、序列化を加速させるものであり、希望枠の拡大の名の下に実質上は選別を強めることです。そして、最終的には1通学圏、完全単独選抜にむけた第一歩になることが懸念されます。とりわけ単独選抜であるⅡ類への影響は大きく、定員割れが起こる高校が増加することも予想されます。
 前期特色選抜については、すでに導入されている山城地域などでも問題点が指摘されているように、客観性に欠け不合格者が大量に出るものです。すでに他府県でも取りやめたり、見直されはじめているこの選抜方法を導入することは問題です。
 私たちは、このような重大な問題点を何ら解決しないまま、拙速に施策化することには反対します。つきましては、以下の要請事項の実現についてご尽力をいただきますよう、強く要請します。

1 10月18日の府・市両教育委員会で「決定」した「改善事項」の施策を撤回すること。
2 現在の通学圏や入試制度についてのていねいな検証をふまえたうえで、十分な時間をかけて再検討すること。

以 上

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