戦争賛美のタウンミーティングへの市教委後援・教育長出席についての、抗議申入書

戦争賛美のタウンミーティングを京都市教委が後援・門川教育長が出席

京都市教組が抗議を申し入れ、説明を要求

 日本の侵略戦争を「正義の戦争だった」と子どもたちに教え込むDVD「誇り」を作成し批判を浴びた、日本青年会議所が主催した「教育再生民間タウンミーティングin大阪」(9月1日)を、京都市教委が後援し、門川教育長が「提言者」として出席したことが明らかになりました。
 この「タウンミーティング」は、戦争賛美の教育をすすめようとする「日本教育再生機構」(「新しい歴史教科書を作る会」の前会長・八木秀次氏らが中心の団体)が共催しており、当日は、「国防の義務が国民にある」「国防を教えない教育は失格」など、日本国憲法の精神を真っ向から否定するような議論が交わされました。 元民主党の衆議院議員・西村眞悟氏(教育基本法改悪を強く主張してきた)も、門川教育長と並んで「提案者」として出席し、「(国家のために)
命を投げ出すことは崇高なことだ」などと発言しました。

 京都市教組は、これに強く抗議し、後援をした根拠などの説明を求めて、京都市立高教組とともに、申入書を提出しました。以下にその申入書を掲載します。

京都市教育委員会 
委員長 田中 田鶴子様
教育長  門川 大作様

2007年9月27日
京都市教職員組合協議会
議     長 関 民夫 
京都市教職員組合
執行委員長 新谷 一男
京都市立高等学校教職員組合
執行委員長 関 民夫

  「教育再生民間タウンミーティングin大阪」への後援及び
門川教育長出席に対する抗議申し入れ書

 去る9月1日、日本青年会議所近畿地区大阪ブロック協議会が主催し、「教育再生民間タウンミーティングin大阪」が行われました。この「タウンミーティング」は、「新しい歴史教科書をつくる会」前会長の八木秀次氏を中心につくられた「日本教育再生機構」が、その特異な主張を普及するために全国的な運動を展開することを目的として開催されたものです。「日本教育再生機構」は日本軍国主義による過去の侵略戦争を正当化し、賛美するなど、日本国憲法とそれに基づく教育を否定する主張を行い、全国的な運動を展開することを目的とした団体です。今回行われた「タウンミーティング」も、日本国憲法で保障された国民の個人としての尊厳、命、人権、個性と平等などを真っ向から否定して、国防の義務の押しつけを主張するなど、「戦争する人づくり」を公然と語り合う、日本国憲法の理念と原則に反する重大な問題をもつ催しとなっています。
  市教協は、今回の「タウンミーティング」の主催、後援、協賛団体をはじめ、出席者の発言内容を検証する中で、京都市教育委員会が後援し、門川教育長が「提言者」として出席したことは重大な問題であるとして、9月21日京都市教育委員会に対して抗議と釈明を求めました。今回あらためて文書で抗議するとともに、後援の撤回と発言内容についての釈明を強く求めるものです。
  「タウンミーティング」では、数々の憲法否定の議論が主催者や教育再生機構を中心に行われました。例をあげると、
戦争をすることや軍隊を持つことを当然の前提として、憲法9条の平和主義の理念や国民主権の原則を全く否定する議論が行われたことです。八木秀次氏はコーディネーターとして、「国防の義務というのが、これが近代国家の国民として求められる最高の義務なんです。そのことを日本では学校でも大学でもしっかり教えていないということであります。・・・・『一時期のある人たちは犠牲になっても国家の歴史的な存続を図る』という、これが国防です。国防を教えない限り教育というのは近代国家における教育としては明らかに失格。このことが国旗・国歌の問題につながる」と発言しています。
 こうした戦争や軍隊を当然の前提としながら、国民の命や人権よりも国家が大事であると主張し、憲法が保障する「個人の尊厳」、「生命、自由及び幸福追求の権利の尊重」、「基本的人権の尊重」などすべてを否定していることです。主催者として発言した遠藤敬氏(日本青年会議所大阪ブロック協議会会長)は「勝手主義・利己主義というものが蔓延。・・・人権と権利と平等が悪乱用されて、都合のいい3標語が使われてきた。・・・・この3標語があくまでも戦後レジームのイデオロギーによって浸透された」、西村眞悟氏(衆議院議員)は、「問題は命に代えても守るべきものがある。そのためには命を投げ出すことは崇高なことだというふうな国家というものを持つことだ。・・・・・事実わが日本は日露戦争以来、そのような・・・無名のところにも、命を犠牲にして国家を守るという行動をとって、われわれは日本人なんであります」と発言するなど、「お国のために命を投げ出せ」とする、戦前の軍国主義を理想とする暴論を述べています。
  また、教育のあり方についても、八木秀次氏は「教育の内容によって、実は人というものがどうにでもなるもの。・・・いずれにしましても、教育に強制、すなわち無理強いです。・・・強制を排除しようという考え方、ここから脱しない限り、私は日本の教育はよくならないと思っている」と述べ、「思想・良心の自由」、「学問の自由」や「国民の教育への権利」などを全く否定し、教育を国民教化の場と主張し、特定の価値観を注入する強制の場とする議論をすすめています。
  こうした一例を取り上げただけでも、今回のタウンミーティングの内容やねらいが、日本国憲法の理念や原則を否定するだけでなく、京都市教育委員会が掲げている「ひとり一人の子どもを徹底的に大切にする」とした方針にも著しく反するものであることは明白です。こうした問題の催しに、公正・中立の立場で公教育に携わるべき京都市教育委員会が後援に名を連ね、門川教育長が「提言者」として出席し発言をしたことは、京都市民や父母・教職員に到底理解を得られるものではありません。よって、厳重に抗議するとともに以下の点について強く申し入れを行ないます。

1.9月1日に開催された「教育再生民間タウンミーティングin大阪」に対して、京都市教育委員会が後援したことが適否であったのかどうか、当日の主催者発言や提言者の発言に即して検証し市民的に説明を行うこと。また、後援を行う際の基準を明らかにされたい。

2.公正・中立の立場で公教育を行うべき教育委員会の責務に反する、憲法や民主教育を否定する団体や特定の政治勢力の催しなどに対して、後援することや教育長の公的立場での参加は止められたい。

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