京都地裁を上回る勝訴判決

弁護士 村山 晃
超過勤務の解消を求める訴訟で、大阪高裁は、京都地裁の判決を上回る教員側の勝訴判決を出しました。
私たちは、教職員のいのちと健康をまもるため、子どもたちとふれあう時間を増やすため、長時間過密労働の解消を求めて裁判闘争に打って出ました。そして審理の結果、判決では、そのために教育行政が、取るべき措置を取らなかったことを違法だと断じたのです。行政に大きな問題があることを指摘したものなのです。 


それも3人について、認めたことは、いろんな学校に広く蔓延していることを認めた画期的なものだと言えます。
長く、給特法のもとで、どれだけ超過勤務をさせても放置しておけば良い、としてきた教育行政は、今度は高裁からもレッドカードを突きつけられたのです。裁判所は、今回、新たに2名を追加で認めたことについて、いずれについても「原告の時間外勤務が極めて長時間に及んでいたことを認識、予見できたのに、何ら改善措置等を講じていない」ことを違法の根拠としています。であれば、これを2名の原告に限定する根拠はありません。どの原告も同様に「極めて長時間」の時間外勤務をしているからです。そして、それは原告だけでなく、広く教員全体に共通していることです。
そういう意味で、今回の判決は、教員の時間管理・健康管理がまったく行われておらず、教育行政に大きな問題があることを指摘したものなのです。
私たちは、訴訟を通して、教職員の超過勤務が異常な状態にあることを広く社会に明らかにすること、それを通して、超過勤務問題の抜本的解決をはかること、を目的としてきました。文科省や教育委員会が、この判決を誠実に受けとめ、今までの教育行政を見直すことは、彼等の責務です。違法な長時間勤務にならないよう、万全の措置を講ずるのは当局の責務です。
判決をきっかけに、そうした世論を一層大きくし、何としても違法な長時間勤務を解消させるよう引き続き尽力しなければなりません。もちろん、最高裁判所でも、この水準を維持させ、さらに前進をさせることが求められています。