超勤裁判大阪高裁判決:際限のない超勤放置を断罪

子どもの教育と教職員のいのちを守る運動の力に!!
十月一日、大阪高等裁判所第十二民事部の安原清蔵裁判長は、京都市内の小中学校教員九人が、「無定量な超過勤務の是正」を求めた超勤是正裁判の判決で、新たに二人(合計三人)の教員に対して、京都市の安全配慮義務違反を認定し、損害賠償を認める画期的な判決を行いました。京都市及び原告・弁護団双方が上告手続きを行い、たたかいは最高裁へ移ります。


大阪高裁判決は、新たに小学校教員を含む二人、計三人に損害賠償を認めました。さらに、常態化している超過勤務の実態について、すべての小中学校で日常的に行われている仕事に対し、持ち帰り仕事も含めて本人及び校長の証言などをもとに正確に認定しました。
この判決の考え方は「管理監督者(校長)が労働者(教職員)の長時間に及ぶ超過勤務を知りながら必要な対策を怠れば、健康被害などが具体的に起こっていなくても安全配慮義務違反にあたり、損害賠償が認められる」というもので、超勤を余儀なくされているすべての教職員・労働者にも適用されるものです。
さらに、大阪高裁判決は、使用者としての市教委の責任とともに、現場で指揮監督する校長の管理監督責任を明確にしたこと、教職員に対する勤務時間管理の必要性をいっそう明確にするなど内容的にも前進しました。
その一方で、他の六人には安全配慮義務違反を認めませんでした。また、「給特法」違反の無定量な超過勤務が放置されている点については、教職員がおかれている困難な状況や教育を取り巻く状況の変化に言及しつつも、「自由意志を強く拘束するような状況下でなされ」た場合にあたらないと、従来の判決の解釈通り、その違法性について認めなかった点など、判決には大きな問題点が残されています。
教育行政は、この判決を真摯に受け止め、教職員の大幅増、三〇人学級の実現、教職員の勤務時間管理と超勤縮減の具体化をはかり、実効ある労働安全衛生体制の実施に足を踏み出すべきです。 
■京都市教組執行委員長:新谷 一男
大阪高裁判決が、教職員の超過勤務の実態を認め、市教委および、現場の管理監督者である学校長の監督責任をも明確にした判決は、おおいに学校現場を励ますものになりました。
京都市の学校現場では、長時間過密労働が蔓延し、教職員の命や健康が危機的な状況に追い込まれてきていました。いままで京都市教委は、「日本一の京都市の教育」は教職員の「昼夜わかたず献身的な努力で」維持できていると超勤を前提にしてきました。京都地裁の判決が出てから市教委は、超勤にたいし、何らかの方策が必要であるとの姿勢を示すようになってきました。
 高裁判決を生かし、京都市の教職員が、超勤のない学校で、ゆとりをもって子どもたちと向き合える条件が確立されるまで、がんばる決意です。