査定評価・賃金リンクの教職員評価に怒り②

「査定評価」試行実施Q&A
Q1:今回試行される制度の概要は?
Q2:京都府教委の制度との違いは?
Q3:制度導入が賃金改善につながるのですか?
Q4:今回の試行の問題点は?


Q1:今回試行される制度の概要は?
「試行案」の概要は、①評価期間…二月一日?二十八日、②評価者…小中学校―校長・教頭、総合支援学校―校長・副校長・教頭・副教頭、③評価対象…主幹教諭、指導教諭、教諭、任用期限を付さない常勤講師(外国籍の教員)、養護教諭、栄養教諭・職員、事務職員、④評価…S及びC・Dの評価は行わず、A・Bのみ行う。⑤評価結果の賃金反映…なし、評価結果の市教委報告…なし、⑥評価結果の本人開示…なし、⑦アンケート…管理職のみ。
Q2:京都府教委の制度との違いは?
今回の市教委案は、給与負担者である府の制度と大きく異なるものとなっています。府教委がその基本姿勢で「教育活動がチームワークで行われている特殊性を重視する」とし、教職員間の競争を激化させたり、格差を広げることに抑制的であるのに対して、市教委は、「格差がつくのは当然」とし、教職員にいっそうの競争を持ち込もうとしています。
Q3:制度導入が賃金改善につながるのですか?
市教委は、制度導入が教職員の賃金改善につながることを強調しています。しかし、その実態は、①そもそも全教職員の賃金を一律に削減して財源としていること。②財源には限度があるため、最終的には相対評価で学校ごとにA・Bに分けられます。だから、いくらがんばっても、五五%の教職員は必ずB評価となり、教職員全体の処遇改善にはつながりません。
今回の試行の問題点は?
主なものは、次の七点考えられます。
①市教委が求める異常な教師像
 市教委が教諭等のA評価の着眼点で「A以上の水準」としているトップ項目は、「★常に管理職の方針を理解し、★週案・単元別学習指導計画で模範となり、★態度、言動、服装などで規律ある姿勢があること」となっています。市教委には、全く教職員管理の発想しかなく、市民や父母からも理解が得られるものではありません。
②「教諭」も学校運営への参画がトップ項目
 さらに、一般の教諭もA評価の着眼点で、「学校運営への参画」がトップ項目となっています。全国的にも、京都府においても教諭の項目のトップは、「学習指導・生活指導」となっています。学校教育法でも、「教諭は児童・生徒の教育をつかさどる」となっており、中心的な仕事が授業などの教育活動にあることは明らかです。
③本人への評価結果の開示を拒否
各校長は、今回の一ヵ月の評価期間で個々の教職員にAまたはBの評価をつけます。そもそも公正・客観的な評価が困難な教育活動をこんな短期間で評価できるはずもありません。そして、市教委は開示しない理由として、「精度の高い評価が期待できないから」と回答しています。組合は、「評価をするのであれば、開示すべき」と強く求めています。
④勤務時間外の活動も評価対象に
「勤務時間外の活動は対象となりません」としながら、「時間外の地道な取組が…学校全体に大きな教育的効果をもたらせた場合などは、一連の教育活動として評価することも考えられる」との表現で、事実上、時間外の活動を評価対象としています。これでは、いっそうの多忙化、超過勤務競争に教職員を追い込むことになりかねません。
⑤A評価の候補に教務主任・研究主任などを例示
また、市教委は総合評価の判定で、教務主任や研究主任などを例示し、学校運営に主体的に関わって、現実に高い貢献があったものをA判定とするとしています。特定の分掌主任をあらかじめA判定とすることは、評価の公平性を著しく欠くとともに、いっそう職場への分断を持ち込みかねません。
⑥評価補助者を設置(一次試行ではなし)
一次試行では、組合の強い反対で「任命しない」としましたが、市教委は、「評価者(管理職)は、教務主任その他の教職員を評価補助者に指名することができる」としています。これは、管理職でない一般教職員が他の教職員の評価に関わることになり、職場の人間関係を破壊することは明らかです。
⑦養護職員などの市費職員は一次試行の対象外に
今回の試行では、養護職員、事務員、管理用務員、給食調理員が除外されています。市教委の説明では、京都市職員については、「賃金リンクの論議がすすんでいないから」としています。同じ学校内で制度への適用や運用が著しく異なることは許されず、市教委も、「最終的には京都市との整合性をはかる」としています。