御所南小故大西先生に公務災害認定

706-1-1.JPG 地方公務員災害補償基金は、二〇一一年十二月十二日付で、二〇〇九年十一月二日に自宅で倒れ、亡くなられた御所南小の大西春美先生のご遺族に対して、「公務上」の災害であることを認定する「通知」を行いました。


■画期的な基金段階での早期認定
今回の認定は、裁判等に至る前の「基金」段階で、二年余りという比較的短い期間で、「過労死」と認められたもので、極めて画期的なことです。
■過酷な文科省指定の研究発表準備
市教組は、ご遺族(夫の大西修さん)の支援要請を受けて、弁護団とともに同僚の先生から勤務実態の聞き取りを行い、陳述書と勤務実態表の作成などを行い、「基金」に提出しました。
同僚のみなさんの聞き取り調査からは、大西先生が研究主任として、研究発表の指導案の作成と添削、紀要の作成などを中心になって行っていたこと、さらに学年主任として、学年の青年教職員の指導や援助を熱心に行っていたことが明らかになりました。
その労働時間と仕事内容は大変過酷で、朝八時過ぎに出勤し、午後十一時前後に退勤していました。また通勤時間を短縮するために毎日、京都縦貫道を使用していました。さらに帰宅後も、午前二時~三時ころまで、研究発表の準備や週案の作成、授業準備などを行っていたことがコンピューターの更新記録に残されていました。
弁護団の計算によると、発症前一ヵ月の時間外勤務時間は二〇〇時間を大幅に超え、睡眠時間もほとんど取れていない状況でした。
■ご遺族先頭に基金本部へ申し入れ
また、何とか早期の認定を実現しようと、十一月十八日には中野副委員長が、ご遺族(夫の修さん、娘さん、お姉さん、お孫さん)とともに、東京の基金本部へ早期に公務災害と認定するように申し入れを行いました。
このようなご遺族及び弁護団、職場の同僚、組合の取り組みが早期の認定を実現する大きな力となりました。
■市教委が一月六日に「通知」を発す!
市教委は大西先生の公務災害認定を受けて一月六日付で、「教職員の健康の保持・増進に向けた取組の再点検及び徹底について」の通知を学校園長宛に出しました。
その通知の中で、市教委は、「研究発表前の時間外勤務が大きな要因である」ことを自ら認めています。そして各学校園長に、定時退校日や部活動休止日の設定などを事例として示して、いっそうの時間外勤務の縮減を求めています。さらに、健康診断後の要精密検査の徹底や長期宿泊の振替の徹底、実施後の当該学年の授業カットなど、従来の取り組みを前進させる内容も含まれています。
しかし、現時点で各学校での通知の徹底は十分に行われていません。
■抜本的な勤務条件の改善のために、定数増と仕事量の削減を!
今回の事案では、研究指定を行った文部科学省や市教委の安全配慮義務違反は明らかであり、その責任を明確にする必要があります。とりわけ、京都市内では北芝、内藤、東條先生と今回の大西先生で四人目の「過労死」認定であり、「過労死」の発生を防止できていない市教委の責任は極めて重大です。
二度とこのような悲劇を繰り返さないために市教組は、市教委に対して、各学校園長宛の「通知」の徹底を求めるとともに、抜本的な超過勤務の縮減にむけて、教職員増、行事・研修の精選、研究指定などの大幅削減などを具体的に実施することを求めるものです。
さらに、すべての学校で衛生委員会の設置など、労働安全衛生体制の確立を求めるものです。