新たな統制と負担増―学習指導要領改訂案―

 2月15日、文部科学省は、09年度から順次実施予定の学習指導要領改訂案を発表しました。その内容は、従来の学習指導要領の問題点についての反省がないまま、教育内容への国の新たな統制と、学校現場へのいっそう大きな負担を強いるものになっています。

 第1は教育内容へのさらなる反動的な介入の問題です。道徳教育を「すべての教育活動の中で行う」とし、「道徳教育推進教師」を中心に展開させる、としています。「伝統と文化」を強調し、小学校中学年で文語調の短歌や俳句の暗唱などを持ち込んでいます。これに対しては新聞の報道でも、「特定の価値観を画一的に押しつけるようになっては困る」と批判がなされています。
 第2に、授業時間数増などによる子ども・教職員への負担の増大です。小1での毎日5時間授業など、全学年で授業時数を増やすだけでなく、夏休みなど長期休業中の授業も可能としています。増やされた学習内容も、子どもの発達段階や教科の系統性をふまえていません。マスコミでも「時間数も内容も幅を持たせて現場の工夫に任せた方がいい」「教師を増やすなど条件整備が必要だ」との識者の声が紹介されています。
今後、文科省のパブリックコメントに反対意見を集中していくとともに、子ども不在の改訂案の問題点を父母・市民に広く知らせ、新学習指導要領実施の中止を求め、学校現場への押しつけに反対していく取り組みが、強く求められます。

パブリックコメントの募集要領(文科省ホームページ)はコチラ→http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1030&btnDownload=yes&hdnSeqno=0000034959

「パブリックコメントに反対意見をお寄せください」(京都市教組サイト)は→こちら