政府に屈服、役割を放棄する人事院~賃金改定を見送り~

 人事院は、8月8日の国家公務員の給与等に関する報告と勧告を行いました。
 勧告は、民間の比較対象企業規模を「50人以上」に見直して官民比較をした結果、「極めて微少な格差」であったとして、月例給、一時金ともに改定を見送りました。


 今年の春闘では、昨年を上回る賃上げが民間職場で実現しており、従来通り100人以上の企業と比較していれば、月例給で1.12%、一時金で0.05月の給与改善になるところでした。
 この背景には政府による公務員賃金抑制政策とそれを具体化した7月7日の「骨太方針2006」があることは明らかです。政府の露骨な介入に屈した人事院は、公務員のスト禁止等の代償機関としての役割を放棄したと言わざるを得ません。また、3人目以降の子の扶養手当を1,000円引き上げ6,000円としました。
 「少子化」が社会問題となる中、育児のための短時間勤務制度の導入に言及しました。具体的には小学校入学前までの子どもを養育する期間、1日4時間(週20時間)勤務、週3日(週24時間)勤務などの短縮勤務を行い、給与等は勤務時間に応じた額を支給し、一定時間の短時間勤務職員を配置するというものです。導入に当たっては、代替職員の賃金や処遇など検討を要する問題も少なくありません。
 さらに、「行革推進法」の中で、人材確保法の廃止・見直しを含めて、教員給与の大幅な削減が狙われており、教職員の勤務実態を明らかにするとともに、削減反対の広範な世論づくりを早急に進めなければなりません。