〈寒川意見陳述要旨〉 (09年5月28日、大阪高裁)

 京都地裁で、私が安全配慮義務違反が認められたことは、現場に小さな明かりを灯すものとなりました。「良いとされたことはどんどん取り入れる」という今の学校は、取り組みが子どもたちにどうだったかや、学校組織としてうまく進められたか、などをていねいに総括する時間がとれず、教育活動が膨らむばかりです。


新しい取り組みは、良いことのように思えますが、到達点も十分意識されないまま多忙化に追い込まれ、個々の教職員の努力だけでこの超勤を解消できない状況を生みます。日常何気なく触れ合える時間や、子どもの顔を思い浮かべながら授業準備をする時間がほしいです。
ベテランからの、若年教員への指導が必要な場面も増えてきました。ていねいに対応し、若い人たちが自信を持って働けるようにしていきたいとも思っています。民間の労働者に比べ、ストレスが3倍以上という現状を放置すれば、学校は崩壊してしまうかもしれません。
この裁判の結果は、日々頑張っている教職員を励ませるかどうか、長時間過密労働を縮減できるかどうか、そして、教職員が生き生きと子どもたちの前に立って働き続けられるかどうか、という大きな意味を持っていますので、お話ししたような視点に立った判決を望みます。
(09年5月28日、大阪高裁)寒川 正晴