七月に行われた参議院選挙では、菅首相の勇み足ともいえる消費税増税発言に対し、国民は「消極的な選択」を行った。
菅政権の中枢にいる七奉行といわれる政治家たちは、構造改革推進派であり、本質は小泉政権時代への回帰である。つまり財政緊縮で公務員の削減・行政サービスの民営化・分権化路線である。
教育の分野では「地域主権」により、憲法・教育基本法に基づいた国の責任を放棄し、一括交付金による義務教育費国庫負担削減の可能性が見えてくる。全国学テや教員免許更新制で明確な政策は示さず、教育のナショナルミニマムの空洞化を図ろうとしている。その一例が「幼保一元化」による「こども園」の創設である。
いま求められている「格差と貧困の解消」、「長引く不況の打開」、「財政危機からの脱出」という三つの難題解決の突破口、そのキーワードは「垂直的所得再配分の再構築」である。
つまり、雇用と所得の安定で国民の購買力を引き上げ、内需を拡大する。国内投資に向かわずため込まれた過剰資金の公的吸収による税収の拡大など、大企業や富裕層から、貧困層や福祉・社会保障にお金を回し、経済成長を、進めていくことが重要である。