新春対談 ひと・いのち輝く京都へ

小児科医 尾崎 望 さん × 執行委員長 得丸 浩一尾崎1面IMG_0363.JPG
得丸 あけまして おめでとうございます。
尾崎 おめでとうございます。
得丸 今年は四月に、府知事選挙が行なわれます。「ひと・いのち輝く京都」にしたいと頑張っておられますが、府政をかえなければと考えた理由をお聞かせください。
尾崎  診療を通じて、「泣き続けているのに抱っこしてもらえない子」「何日もお風呂に入れてもらえない子…」を見てきました。生まれながらにハンディを背負わせ、子どもの可能性の芽をつみとる「貧困の再生産」。これを断ち切るために京都府にできることがあると考えたからです。


得丸 この間の活動を通じてどんなことを感じられましたか。
尾崎 まず京都の北部地域をまわり、生活や仕事が大変厳しい状況であることが見えてきました。国の政治は、社会保障の切り捨てやTPP推進、消費税増税などますます暮らしづらい方向に向かっています。そんな中で、京都府政にできることは少なくないのではないかと感じています。多くのみなさんと協力して、何よりも府民生活を優先する府政をつくりたいと思っています。
得丸 尾崎さんは小児科医として子どもと接することも多いと思います。また、「右京子育て・教育ネットワーク」の活動など、地域の運動にも関わってこられました。その立場から地域や子どもたちをどのようにとらえておられますか。
尾崎 自分の幼少期を思い返せば、地域やご近所同士の力もあり、時代がゆっくり流れていく中で、子どもたちものびのび過ごしていたと思うんです。現代の子どもたちは常に追い立てられています。自由に自分らしく過ごす時間や場所が奪われています。子どもたちが文化にふれる場も大切だと考えています。さらに、この十年間で、発達障害の子どもたちが受診することが増えてきています。これらの子どもたちと親の悩みや不安にどう応えるのか、関心を寄せて取り組んできました。
得丸 今の学校についてはどのような印象ですか。
尾崎 学校が規格化されてきているのを感じています。先生に余裕がなく、叱りつけたり、規制したり…逆に目立たない子は放置されて、本当にその子が伸びる手立てがなされているのか。発達障害の子どもがしんどいと感じているのならば、普通の子もしんどいのではないか。そういう視点でどの子も成長できる条件づくりはますます重要です。
得丸 尾崎さんは「ひと・いのち輝く京都府へ」ということで五つの挑戦を掲げておられますが、その中の「平等なスタートライン」とはどういったことなんでしょう。
尾崎 先日、「お子さんに薬を飲ませて、経過の記録をつけてくださいね」とお願いしたら、「私はこの子だけに関わっていられません」とお母さんが子どもの前でおっしゃった。そう言わざるを得ないところまで追い込まれている。社会的な対応で親がゆとりを持って子どもと接する条件をつくらないと、平等なスタートラインにならないんだと思うんです。親の経済的状況で、子どもの学ぶ権利に格差がつけられないようにされるべきだと訴えたいです。
得丸 親も社会的に厳しく、子どもたちの状況も窮屈になっている。そこで日々奮闘している教職員にエールをお願いします。
尾崎 京都の障害者、障害児教育に関わる取り組みは歴史的にも内容としても全国をリードしてきました。関わってきた子どもたちが、作業所に通い、生きがいを感じ、働いて得た給料で好きなものを買ったり、家族に贈り物をしたりする喜びを私に語ってくれます。これは学校教育を通じて、生活の主人公になれる力を育ててきたということなんです。国の教育施策や自治体の姿勢との矛盾もあるでしょうが、私は、子どもの心情に立って奮闘する教職員を励ましたいと思います。自治体職員も教職員も増やしていかないといけないですね。
得丸 お忙しい中、ありがとうございました。京都府の努力で教職員を増やし、三〇人学級も実現してほしいと思っています。