戦争美化の教科書を採択させず 来春から使用の中学校教科書

七月三十日の京都市の教育委員会会議で、来春から中学校で使う教科書が採択されました。


過去の戦争を美化し国民の権利より義務を強調した記述の多い、歴史・公民の教科書(育鵬社版・自由社版)は、今回も採択されませんでした。市教組も参加する、京都教科書問題連絡会議の各団体・個人のみなさんが、市教委への要請書提出、教科書展示会での意見記述などにとりくんだ成果です。京都府内の他のすべての採択地区でも、育鵬社版・自由社版を採択させませんでした。

  しかし大阪府では、四年前に東大阪市で育鵬社が採択されたのにつづき、今回は大阪市を含む五つの市で、育鵬社版が採択されてしまいました。現場教員などが参加した選定委員会の答申内容や、多くの市民の要望を無視して、教育委員の独断で採択を強行したことは大きな問題です。他の県でも同様に育鵬社を採択した自治体が新たに出てきています。一方、前回育鵬社を採択した、愛媛県今治市・東京都大田区では、今回は他社を採択させることができました。
 また、今回の文科省による教科書検定では、政府見解どおりに記述することが合格の条件とされ、領土問題では「(尖閣・竹島は)日本固有の領土です」という記述が、どの会社の教科書にも一律に書かされています。
政府見解を「正しいもの」として書かせる検定制度の改善や、教科書採択に教職員や保護者・市民の意見をよりよく反映させていく仕組みづくりが、今後さらに求められます。