核兵器廃絶に向けて前進―NPT再検討会議レポート①―

678-2-1.JPG二〇一〇年のNPT再検討会議は、五月二十八日、全会一致で最終文書を採択し閉会しました。カバクチュラン議長の「私たちは市民社会の熱意に応えなければなりません」という感動的な開会の挨拶で始まった今回の会議。前回の二〇〇五年がアメリカ・ブッシュ大統領の妨害などにより会議は決裂、最終合意に達しなかったという苦い経験から、今回の会議の成功は世界中の多くの人の願いでした。


会議の中で「二〇一一年までに核保有国が核軍縮のための交渉を開始する、二〇一四年に核兵器廃絶に向けたロードマップ(行程表)作りのための国際会議を開く」という画期的な素案が発表されました。非同盟諸国をはじめ核兵器廃絶を迫る勢力と核兵器に固執する勢力の対立により、全会一致の原則の下、この期限を切った核廃絶交渉の開始の約束こそは通りませんでしたが、その必要性は浮き彫りにされました。そして、カバクチュラン議長や国連関係者の奮闘により最終文書まで何度も草案が作成され、ついに最終合意に至ることができたのです。
 最終文書では「核廃絶の約束実行」を再確認し、核廃絶の「具体的な進展」を核兵器国に約束させました。この合意には、世界の反核平和の運動と世論が大きな力になったことは間違いありません。
 提出された七〇〇万の署名とわたしたちの運動が、世界を切り開いたという実感があらためてわいてきます。核兵器廃絶に向けて、この前進をさらなる前進に結びつけるために、これからも「核兵器をなくせ」の声を広げていきたいと思います。